花嫁の和装はいろんな種類があるのをご存じでしょうか?
また、和装はウェディングドレスと違い、着物の柄や小物まで意味が込められており、その意味を知っていると衣装選びがさらに楽しくなります。
今回は、和装を考えている花嫁なら知っておきたい基礎知識をご紹介します。
花嫁が着る和装にはどんな種類があるの?

結婚式で花嫁が着る和装には、大きく分けて5つの種類があります。
それぞれを詳しくご紹介します。
もっとも格式高い白無垢
白無垢は和装の中でもっとも格式高い婚礼衣装です。
表裏全て白一色で仕立てられており、白は古来から「太陽の色」で神聖な色とされてきました。
また、白無垢には、
- 純潔
- 嫁ぐ家の家風に染まる
という日本ならではの意味も込められているのだそう。
一見真っ白なので「どの白無垢でも同じでは?」と思ってしまいますが、実は素材や織り方や柄など、それぞれに種類があります。
実際に触ったり、見比べれば、全く違うということがわかるでしょう。
鮮やかな色打掛
打掛とは花嫁衣裳の一番外側に羽織る着物をいい、白無垢で着る打掛以外を色打掛と呼びます。
掛下という小袖の上に色鮮やかな打掛を羽織るので、見た目も非常に華やか。
挙式の際には白無垢、披露宴は色打掛という方が多く、鮮やかな色合いで写真に映えます。
白無垢から色打掛にお色直しすることにも意味があり、「今までの自分は死に、嫁ぎ先で生まれ変わる」という花嫁の覚悟を表すのだそうです。
色打掛の色にも
- 赤…生まれ変わり
- 金…神聖な色
- 桃色…愛情の色
- 青色…純潔
というように、それぞれ意味があります。
自分に合った色を見つけてみましょう。
上流階級の婚礼衣装だった振袖
振袖には、黒い振袖とそれ以外の2種類があります。
引き振袖
引き振袖は、
- 大振袖
- 本振袖
- お引きずり
などとも呼ばれ、江戸時代から婚礼衣装として着られています。
振袖の中でもっとも格式高く、縦長のシルエットですっきりとして見えます。
打掛がないので、身軽で動きやすいのも特徴です。
その名の通り裾を引きずるのですが、裾には綿が入れられており、膨らみがあるため足に絡まってしまうこともありません。
最近では引き振袖に洋髪を合わせる花嫁も増えてきています。
黒引き振袖
色の黒い引き振袖は「黒引き振袖」といい、黒い色から「嫁ぎ先以外の色に染まらない」という意味があります。
キリッと引き締まった黒に柄が映えるので、前撮りにもオススメ。
洋髪を合わせやすく、モダンな印象にもなる黒引き振袖は、おしゃれが好きな女性からも人気です。
お雛様と同じ十二単衣
十二単衣(じゅうにひとえ)は12枚の着物を重ねて着ると思われがちですが、実は12枚も着ていません。
何枚も重ねて着ることを12という数字で表しており、実際は8枚なのだとか。
襟・裾・袖は複数枚重ねているように見える「比翼仕立て」となっているため、実際よりも重ねて着ているように見えるのです。
裾のグラデーションがおしゃれとされていたそうで、昔の人の美意識を感じられる婚礼衣装と言えます。
十二単衣といえば、お雛様を思い浮かべる方もいるかもしれませんが、髪は大垂髪(おおすべらかし)に結い上げ、そこに宝冠(ほうかん)を乗せて、手には桧扇(ひおうぎ)を持った、まさにお雛様スタイルが正式なのです。
新和装
新和装は和装に洋を取り入れて、現代風にアレンジした衣装をいいます。
例えば、
- 着物の生地にオーガンジーやチュールなどの素材を使用している
- 着物の柄にバラなどを現代的なものを使用している
- 着物の裾にレースがあしらわれている
など、着物の凛とした印象とはまた違った華やかさがあります。
ただし、新和装は伝統衣裳とは言えず、神社や式場によっては挙式ができないこともあります。
披露宴での着用は問題ないので、新和装を着るのであればお色直しの時がオススメです。
選ぶ前に知っておきたい!着物の柄と文様の意味

着物の柄にはさまざまなものがありますが、婚礼衣装として着られる着物には「めでたいしるし」という意味を表現した「吉祥文様」という柄が描かれています。
柄にはそれぞれに意味があり、それを知ることで着たい柄が見つかるかもしれません。
ここでは代表的な文様と意味をご紹介します。
鶴(つる)
鶴には、
- 長命長寿
- 子孫繁栄
- 一生添い遂げる
などの願いが込められ、2羽以上で描かれることが多く、婚礼衣装によく使用されます。
鳳凰(ほうおう)
鶴と同様に慶事を象徴する瑞鳥とされている鳳凰は、格式高い高貴な文様とされています。
檜扇(ひおうぎ)
檜扇は、扇に飾り紐を付けた華やかな図柄です。
扇が末広がりな形であることから縁起が良いとされています。
松竹梅(しょうちくばい)
祝儀の文様として欠かせない松竹梅は婚礼衣装にも描かれます。
年中変わらぬ緑を保つ「松」、寒い中でもまっすぐ伸びる「竹」、早春に花を咲かせる清らかで高雅な「梅」を合わせています。
貝桶(かいおけ)
貝桶とは「貝合わせ」という遊びで使う道具のひとつ。
貝は二枚で一対であることから夫婦円満を表しています。
熨斗(のし)
薄い鮑を引き伸ばした熨斗は昔から祝儀や引き出物に添えられてきました。
鮑が高級であることから、熨斗も高級でおめでたいことを意味します。
雲取(くもどり)
雲がたなびく様子を表現しており、古来から吉祥文様としてよく描かれてきました。
和装花嫁を美しく見せるヘアスタイル

和装はヘアスタイル次第で雰囲気がガラリと変わります。
ヘアスタイルの種類を知って、どんな和装花嫁になりたいかイメージしてみましょう。
地毛で結う日本髪
かつらを被りたくない方は、地毛で日本髪を結ってもらいましょう。
かつらよりもナチュラルな雰囲気となり、顔とも馴染みやすいのがメリットです。
「日本髪を結うのはかなり長さが必要なのでは?」と考える方もいるかもしれませんが、実は髪全体の長さが肩まであれば、格式高い文金高島田を結うことも可能です。
地毛であれば日本髪独特のボリューム感も調整できますよ。
かつら
髪の長さが足りない場合や、きっちりとしたヘアスタイルにしたい場合はカツラを使用します。
地毛で結い上げるには技術が必要なため、かつらが使用されることがほとんどです。
かつらのヘアスタイルである文金高島田は、島田髷の中でも髷の位置がもっとも高く、華やかさがあります。
かつらならどれを選んでも同じに思えますが、
- 両サイド(びん)にふくらみを持たせたもの
- もみあげ部分が長いもの
- 額の部分の形状の違い
というように、形が少しずつ違っています。
かつらの色も、真っ黒なものだけでなく茶色がかったかつらもあり、少し柔らかな印象に。
かつらの種類はすっぽりと被る全かつらと、地毛を生かした半かつらがあります。
かつらを選ぶ時に大切なのは試着です。
自分の顔の形に合うものを選びましょう。
綿帽子
白無垢に合わせる白い袋状の被り物で、文金高島田に合わせます。
洋髪人気が高まっているため、最近では洋髪用の綿帽子も。
挙式の際に着用し、披露宴では外します。
角隠し
白無垢や色打掛、引き振袖と幅広く合わせることができる角隠しは、文金高島田の上から被る帯状の布です。
「角を隠し、その家に従う」という意味が込められています。
洋髪
洋髪は、
- モダンな雰囲気が出る
- 個性を出せる
- お色直しの時間が短縮できる
などのメリットがあります。
文金高島田では合わせられないヘアアクセサリーを使うこともできますし、洋髪での挙式ももちろん可能です。
洋髪にする場合は着物の格やボリューム感に負けてしまわないようにするのがポイント。
ヘアメイクさんと相談し、着物にぴったり合う洋髪と生花やかんざしなどのヘアアクセサリーを選びましょう。
和装花嫁の小物にはどんなものがある?

和装は小物の種類が多く、それぞれを持つ意味もあります。
それぞれにどんな意味があるのかを知っておくと、身に付ける小物も特別なものと感じられるでしょう。
末広
末広とは扇子のことを言い、その形から「末広がりに幸せが続くように」という意味が込められています。
懐剣
帯の左側に挿しておく短剣で、房付きの袋に入れられています。
護身用として花嫁が身につけていたものです。
帯揚げ・帯締め・抱え帯
帯揚げは帯の上辺を飾るもので帯枕を包んでいます。
帯締めは帯の中央に締めている紐のことで、帯を固定する役割も。
抱え帯は帯の下辺に巻く細帯で、元は着物の裾をかかえるために使用されていたそうです。
筥迫(はこせこ)
胸元の合わせに差し込む筥迫は、武家の女性が化粧品を入れていました。
「身だしなみに気をつけ、いつまでも美しく」という意味が込められています。
まとめ

今回は、和装を考えている花嫁なら知っておきたい基礎知識をご紹介しました。
和装とひとことで言っても
- 着物の種類
- ヘアスタイル
- 小物の色や柄
それぞれの選択肢が多く、伝統に倣った花嫁姿に憧れる方はもちろんのこと、個性を出したい方にもオススメです。
着物や小物などそれぞれに意味が込められているのも、和装ならでは。
和装をお考えであれば、ご紹介した基礎知識を参考にしてみてください。